歯周病が不整脈「心房細動」の一因に? -口腔ケアが全身の健康を守る鍵に-
皆さんこんにちは。
千葉県市川市にある三浦歯科医院の院長の三浦靖です。
今回は、歯ぐきの病気である歯周病と、心臓の不整脈である「心房細動」との驚くべき関係を明らかにした最新の研究をご紹介します。
歯周病菌が心臓に感染する!?
広島大学の医科歯科連携研究チームは、歯周病の原因菌であるポルフィロモナス・ジンジバリス(P.g菌)が歯ぐきの毛細血管から血流に乗って左心房に感染することを、動物モデルを用いた実験で明らかにしました。
このP.g菌の感染が、心房線維化(心房の筋肉が硬くなること)を引き起こし、最終的には心房細動という不整脈につながる可能性があるというのです。
心房細動とは?
心房細動は心臓が不規則に震えるように拍動する不整脈の一種で、日本でも高齢化と共に患者数が増加しています。
この病気は心不全・脳梗塞・認知症の原因となることもあり、健康寿命を大きく損なう可能性がある重大な疾患です。
加齢や遺伝だけでなく、肥満・高血圧・糖尿病・飲酒などの生活習慣も危険因子とされていますが、今回の研究で歯周病もその一つである可能性が示されたのです。
P.g菌が心臓に与える影響
研究では、歯周病の進行により毛細血管が広がり、そこからP.g菌が血液に侵入し、最終的に左心房に到達、この左心房に感染したP.g菌が、線維化に関わる遺伝子の働きを活性化し、心房細動を引き起こしやすくすることが明らかになりました。
また、心臓手術の際に取り出された患者さんの心臓組織を解析したところ、歯周病が重症な人ほど心房内にP.g菌が多く、線維化も進行していたという結果が出ています。
歯周病治療で心臓の健康を守る時代へ
この研究結果は、歯周病が単なる口腔内の病気ではなく、全身の健康、とくに心臓疾患のリスクにもつながることを強く示唆しています。
つまり、歯周病治療が、心房細動の予防につながる可能性があるのです。
現在は、P.g菌を標的とした新しい治療法の開発も視野に入れられています。
しかし、まず私たちにできるのは、毎日のセルフケアと、定期的な歯科検診を通じて歯周病を予防・治療することです。
まとめ
当院では、噛み合わせや定期検診、歯周病治療にも力を入れ、お口の健康を通じて全身の健康を守るサポートをしております。
「口は健康の入り口」とよく言いますが、今後は「口腔ケアは命を守る」という認識がますます大切になってくるでしょう。
気になる症状がある方は、どうぞお気軽にご相談ください。
スタッフ一同、笑顔で皆様をお待ちしております。